1.歯みがきの基本について (目次に戻る)

 ブラッシングは、毛の脇腹を使って回転させる方法と、毛先を使って左右・上下の往復運動・こきざみな振動運動する方法に大別できます。かつてはローリング法が主流でしたが、最近は毛先を使うバス法やスクラッピング法などが、重視されてきました。歯ブラシも、回転法に適した“硬め・長め”の形態から、毛先法に合わせて“やや軟らかめ・やや短め”に変化しているようです。

毛の脇腹を使う
   (おもに回転運動させる)
毛先を使う
 (上下・左右運動、振動運動)
ローリング法 スティルマン法
チャーターズ法
横みがき法 縦みがき法
スクラッピング法 フォーンズ法
バス法
脇腹を使う
(おもに回転)
毛先を使う
つま先
毛先を使う
わき(サイド)
毛先を使う
かかと

 上記のように、色々なブラッシングテクニックが提唱されています。ここでは、これらの方法を個々に説明するのではなく、部位別に歯ブラシの当て方や動きを中心に、整理してみます。

A.前歯の表側(唇面)
  
  歯並びに問題がなければ、みがき易く、効果を鏡で確認し易い場所です。
  
  歯面の平らな部分は、毛先全体を歯面に90度にあてて、左右方向(横みがき法)、上下方向(縦みがき法)、円弧運動(フォーンズ法)でみがきます。
  
  歯のつけね部分(歯頚部)は、毛先のつま先(トウ)やわき(サイド)を使って、加圧しながら小刻みな振動運動させます。1〜2本づつみがいて下さい。つけね部分(歯頚部)のプラーク除去と歯肉マッサージを目標とします。
  
  歯と歯の接する部分(隣接面)は引っ込んだ場所なので、毛先のわき(サイド)を押し込むようにしてみがきます。一カ所づつ、みがきます。隣接面は食物残渣が停滞し易く、虫歯の好発部位です。歯ブラシで取れないときは、デンタルフロスを使って下さい。
  

B.前歯の裏側(舌面)
  
  上顎(うわあご)も下顎(したあご)も湾曲して狭い場所です。歯ブラシを横に入れるのが無理な時は、歯ブラシを縦にあて、毛先全体を歯面に沿って前後運動させてみがきます。
  
  歯のつけね部分(歯頚部)は、毛先のつま先(トウ)を使って、小刻みな振動運動をさせながらみがきます。1〜2本づつみがいて下さい。

C.奥歯の表側(頬面)
  
  永久歯の場合は、第1小臼歯から第2大臼歯までの4本が対象です。
  
  表面の豊隆部は、毛先全体を歯面に対して直角にあて、前後の往復運動でみがきます。一度に4本をみがくのではなく、2本づつみがいて下さい。
  
  歯のつけね部分(歯頚部)は、毛先のわき(サイド)を45度の角度で歯頚部に合わせ、前後に小刻みな加圧振動を加えます。最後は、毛の脇腹を使い咬み合わせ面に向かって回転運動させます。この回転運動により、隣接面の引っ込んだ部分をみがきます。
  
  加圧振動させることにより、歯肉溝のプラーク除去と歯肉マッサージが期待できます。歯周病予防上、大切なブラッシングです。要点をまとめると、@つけね部分の歯面のプラーク除去 Aつけね部分の歯肉溝のプラーク除去 Bつけね部分の歯肉マッサージとなります。この3つの目標がクリアーできれば、毛先のあて方や角度は自由に工夫して良いと思います。
  
  つけね部分(歯頚部)は、歯の形態的特徴より食物残渣が停滞しやすく、虫歯の好発部位です。注意してみがいて下さい。

D.奥歯の裏側(舌面、口蓋側)
  
  豊隆部は表側と同じように、毛先全体を歯面に対して直角にあて、前後の往復運動でみがきます。
  
  つけね部分(歯頚部)も同様に、毛先のわき(サイド)を45度の角度で歯頚部に合わせ、前後に小刻みな加圧振動を加えます。歯の裏側(舌側、口蓋側)のつけねは、舌の自浄作用により表側(唇側)と比較すると、虫歯にかかりにいく傾向にあります。

E.奥歯のかみ合わせ部分(咬合面)
  
  毛先全体を咬み合わせ面(咬合面)に直角にあて、前後の往復運動でみがきます。単純な動作ですが、咬み合わせ面の溝も虫歯の好発部位です。油断せずにしっかりみがきましょう。

  

(まとめ)

1.テクニックにこだわらない。歯ブラシの持ち方、毛先の当て方、動かし方は、自由だと思います。要はすみずみまで、歯面のプラークを残さずに除去し、歯肉マッサージにより、歯肉の健康を保つことです。

2.過度な力は、歯のつけね(歯頚部)の摩耗や歯ぐきに傷をつくります。ブラッシング圧は、200〜300gぐらいが良いとされています。(200〜300gってどのくらいか分かりますか?歯ぐきを傷つけず、かつ除去効果が期待できる強さです。)

3.むかし、「3・3・3方式」とよく言いました。これは、「一日3回、食後3分以内に、3分間みがく」と言うことです。
  
  口の中は普通、弱酸性(ph6.8位)に保たれています。しかし、甘いものを食べると5〜10分で、急激に酸性度が高まり、ph5.5〜5.0になります。ph5.5以下になると、歯の表面の脱灰が始まります。つまり、虫歯の第一歩です。ところが、40〜50分経つともとのphにもどります。これは、唾液の緩衝作用によるものです。このような事実より「3・3・3方式」が提唱されているのです。

 しかし、学生さんやサラリーマンのように規則正しくみがけない人が、多いのではないでしょうか。このような人は、一日一回でも良いから、時間をかけてみがくようにしましょう。また、外出先でブラッシング出来ない時は、「ブクブクうがい」をしましょう。


(目次に戻る)  (次に進む)