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米 山 武 義 先 生 講 演 会

「後期高齢者の医療と介護そして口腔ケアの展開」

              ― 口は長寿の門

 

毎年の恒例となりました歯の衛生週間行事が、今年も6月3日(日曜日)西条市総合福祉センター(もてこい元気館)で午前9時から午後3時30分まで開催されました。

今年西条支部では、例年行われる市民向けのフッ素塗布やお口の健康相談等の一般行事の他に、特別企画として上記内容に関しての講演会を企画、開催いたしました。

 

演者の米山武義先生におかれましては、もうご存知の先生方も数多くいらっしゃることと思いますが、誤嚥性肺炎の発生率低下のために口腔ケアがとても有効であることを実証するデータを、特別養護老人施設で2年間の追跡調査を行って、日本で最初に厚労省に示された先生で、その研究内容は、現在でもとても高く評価され、学問的、人格的にも素晴らしい先生でいらっしゃいます。

 

簡単ではございますが、本講演会の開催報告をさせて頂きたいと思います。

 

まず講演会前日の夜、東京からの最終便で松山入りされた米山先生を空港でお迎えしました。

松山市内の瀬戸内料理のお店にご案内して、遅めの時間(午後9時より)からの懇親会を、西条支部の本講演会の世話役の先生方、また米山先生の母校である日本歯科大学の愛媛県校友会の会長先生をはじめとする有志の先生方の合計9名で行いました。

 

米山先生は、来松までの週半ばをほとんど徹夜に近いかたちで、厚労省からの委託研究の取りまとめしておられたそうで、さすがに空港到着時には“お疲れ”モードが漂っておりましたが、お食事を始められた頃には、非常に美味しい瀬戸内のお魚料理に大満足され、大学時代(何でも少林寺拳法部に在籍されていたそうで、非常に“バンカラ”でいらしたそうです)の昔話に、とても花が咲いていました。

その後11時過ぎに懇親会はお開きとなり、先生を道後のお宿にご案内し、日本一の泉質と自負する温泉を堪能して頂きました。

米山先生、山の手ホテルの温泉大浴場がことの外お気に召されたようで、短いホテルの滞在期間の間に2回も温泉に行かれたそうで、「本当に命の洗濯をさせて頂きました」と喜んで頂いたのには、関係者一同とても安心いたしました。

 

   神野支部長 開会のご挨拶  

 
      松浦医師会長祝辞      

     

        米山武義先生                 米山武義先生 

 

朝9時30分より始まった講演会では、西条支部会長・神野茂先生より開催のご挨拶の後、西条市長・伊藤宏太郎様(代読)西条医師会会長・松浦 裕先生よりご祝辞を頂き、その後本講演会に入りました。

 

講演会の内容について簡単に要約致します。

 

米山先生が、平成17年7月にNHKラジオの「心の時代」に出演した際に、視聴者の方々より非常に多くの問い合わせが殺到し、先生自身が考えておられていた以上に、一般の方々がお口の健康の事にとても関心が深く、又、お困りになっている現状を知り、改めて「歯科医師として、何とかしなければ」という使命感に駆られた、というエピソードから講演会はスタートしました。

 

来るべき2015年より、「本格的な超高齢化社会」がスタートし、2025年のピーク時には、後期高齢者の人口が実に3500万人(全日本人口の約四分の一)に達し、さらに認知症を併発する高齢者の数が250万人に達する、というような、驚くべき予想データについて解説して下さいました。

その状況の中で我々、看護:介護に携わる医療人や一般の方々は、「介護よければ終わり良し、終わり良ければすべて良し」のスローガンの下、おざなりではなく、要介護者やその家族の方々の「魂を揺さぶるような、ケアを目指して皆さん、共に頑張りましょうよ」という言葉に“鳥肌”が立つような、感動を与えて戴きました。

 

講演会会場は、一気に盛り上がり、ここで米山先生が「地域の口腔ケアネットワーク」構築の一環として、特別養護老人ホームへ歯科の往診に行くようになり、先生自身で要高齢介護者の口腔ケアをするようになって、「要高齢介護者の口腔環境は、誰かがケアしてあげない限り、悪くなることはあっても自然に改善することはない、そして心も老化してしまう、口腔は死を迎える其の時まで、大切な器官なんだ」ということを改めて認識されたそうです。

治療とケアが一体になった時に、素晴らしい効果が現れることを是非証明したい、との思いから、前東北大学老年:呼吸器内科 佐々木英忠教授を班長とする、厚生労働省の厚生科学研究に協力し、歯科衛生士、看護:介護士による専門的口腔ケアや日常の口腔ケアによって、特別養護老人ホーム利用者の肺炎の発生率を抑制できるか、の研究を平成9,10,11年の3年間かけて行われたそうです。

その結果、しっかり口腔ケアをされている方とそうでない方は、年数が経てば経つほど、肺炎への罹患率に差が出て来る事を客観的なデーターより証明し、その中でも、誤嚥性肺炎に対して口腔ケアをすることで、しない時に比べて約半数の罹患率になることを、実践し証明されました。

その執念には本当に頭が下がる思いです。

 

そして、今まで老人性の肺炎の治療方法は、抗生物質と起炎菌の“おっかけっこ”で、非常によい薬がどんどん開発されているのにもかかわらず、死亡率は100年前とそれ程変わってないこと、それよりも、肺炎の原因になる起炎菌を口腔内でしっかり取ってあげて、いわゆる抗生物質に頼らない予防法に移行していくのが、一番素晴らしいことで、それが結果的には、医療費の削減にもなっていくんだ、というお話をして頂き、本当に感銘を受けました。

 

その他にも、要介護者の方には、比較的に低栄養の方が多いので、介護者が、要介護者にスプーン等を使ってお食事を与える時に、むせないように与えるように気を使ってあげるだけで血清ALB値(老化を加速させないようにするためにとても大事な物質で低下することが良くない)が0,3〜0,5g/dlも上昇する研究結果の出たこととか、食支援と口腔機能向上訓練を行っている人は、それを長く続けている人ほど、血清ALB値が優位に高くなる説明を聞かせて頂きました。

 

最後になりますが、これから改めて口腔ケアを見直し実践していこうとする時に、

1)わかった者同士(多職種)が連携の輪:和を築いて いくことが大切で、これによって地域に安心の輪:和 が広がっていきます。

2)“お互い様”のゆとりの心をもった支え合い、がとても大切で、要介護者の事を中心に考えた連携をとるように皆さんで頑張っていきましょう。

というお言葉を頂き、本講演会は終了いたしました。

 

午前9時30分よりお昼一時間の休み時間を取って午後3時30分までの足掛け5時間の講演会で、通常午後あたりには、空席も目立ち始めるかな、なんて講演会担当者は少し心配しておりましたが、参加者約200名(一般行事参加者約450名を合わせると実に650名近くの方々に集まって戴いた)、ほとんど最後まで退席者もなく素晴らしい講演会でした。

 

以上、きわめて簡単ではありますが、今年の「歯の衛生週間行事」西条支部の行事報告を終らせて頂きます。最後になりましたが、足掛け約半年間の間、この講演会の責任者としてご尽力して戴きました、当支部 渡辺 浩先生、そのサポート役でいろいろな仕事を精力的にこなしてくれた村上徳夫両先生にこの場をお借りしてお礼申し上げます。

支部会員の先生方ご協力本当にありがとうございました。